本索引の特徴
- 本索引は、慶応3年10月14日大政奉還から明治19年2月26日公文式施行までの法令を採録の対象とし、〔明治前期編〕として編纂するものである。本索引により、国立国会図書館「日本法令索引」として、明治以来の我が国の法令の検索が可能となる。
- 明治前期は夥しい数の様々な法令が日々発出され、その全容を把握することは容易ではない。本索引では、これらの法令について沿革系譜を明らかにすることを目的として、出来得る限りの法令を採録することに努めた。『法令全書』を基本資料とし、法令採録の対象とした出典資料は約70点にのぼる。もとよりこれで十分ではなく、重要な法令で採録漏れとなっているものもあろう。今後の研究材料としていただければ幸いである。
- 本索引では、法令採録の対象とした出典資料が、国立国会図書館「国立国会図書館デジタルコレクション」又は国立公文書館「国立公文書館デジタルアーカイブ」に搭載されている場合は、リンクを張って法令本文を参照可能とした。
- 本索引の検索項目は、「法令名」「法令の種別」「法令番号等」「出典資料」「発令年月日」「発令主体」「分類」「法令ID番号」である。
- 法令の沿革系譜を辿ることを主眼として、出来得る限り沿革を付与し、さらに、その法令が改正した「被改正法令」を参照可能とした。またその法令に関連する法令も集めた。
- 法令の名称については、当時は現代とは異なり確とした法令名が付与されていたわけではない。今日でいう件名的なものが多いので、法令名の検索はフリーキーワードによる検索が主となろう。
- 明治前期の法令は、法令の名称だけではその内容が判断できない場合が多いため、内容の把握や主題からの検索の手助けに分類を付与した。
- 本索引では、個々の法令を単位としたいわゆる「法令単体」についての情報と、沿革等他の法令との関係性についての情報を、一つの画面に表示した。
- 本索引の作成にあたっては、対象とする法令の歴史的な性質に鑑み、出典資料の表記のとおり採録することに努めた。索引作成上必要に応じて施した加工については、その一つ一つを記号・略号等を用いて明記した。
- 出典資料に出来得る限り忠実であることに努めたため、沿革の態様、法令名、発令主体、法令番号等において、これまでに当館が刊行してきた『日本法令索引〔旧法令編〕』、現在提供している「日本法令索引」と、相違が生じた場合もある。
- ※明治前期法令の法制史上の位置づけ、本索引の意義づけ等については、日本法令索引〔明治前期編〕解説 岩谷十郎「明治太政官期 法令の世界」を参照されたい。
- ※実際の検索の方法については、「ヘルプ(使い方ガイド)」を参照されたい。
全般について
1. 採録の範囲
1-1. 期間
- 慶応3年10月14日の大政奉還から、明治19年2月26日の公文式施行に至る期間に制定された中央の国家機関の「法令」を採録する。
- 個々の法令の沿革については、明治19年末までを採録の範囲とした。ただし法令の失効時期が、判明したものについては、明治20年以降も採録した。
1-2. 基準
- 本索引において「法令」とは、詔勅、布告、布達、達、沙汰、議定、決議、申達、通達、通知、内訓、判決等、その種別を問わず、その内容に「法規性」が認められるものである。
- 『法令全書』を基本資料とし、『法令全書』に掲載された法令は、付録を含めてすべて採録した。
- 『法令全書』以外の資料(15. 出典資料を参照)から採録する場合には、「中央の国家機関の法令」としては境界線上にあるような以下の項目も、太政官布告等に準ずるものとして採録の対象とした。
- 大政奉還以降に旧幕府によって発出された法令で、『太政類典』に収載されているもの。
- 明治4年7月14日の廃藩置県に至るまでの、三府(京都・東京・大阪)及び開港場にて発出された府県の法令。
- 『太政類典』や『法規分類大全』等において、法令本文が掲載されていないものの、法令名・発令年月日等から法令の存在は確認されるもの。
- 中央の諸官庁に宛てた伺やそれに対する指令等で、「先例性」が高いと思われるもの。
- 軽易な法令であっても、歴史的事実の確認という観点から参考となると判断されるもの。
1-3. 件数
- 本索引に採録した法令の総件数は、約44,000件である。
- このうち、『法令全書』から採録した法令は約23,000件、『太政類典』及びその改題誌である『公文類聚』から採録した法令は約11,000件、その他の出典資料から採録した法令は約10,000件である。
2. 分類
- 分類は『日本法令索引〔旧法令編〕』に準拠し、各種法令集の分類法を比較参照して改訂を加えたものを主綱表として、これをさらに細分化した。細分化にあたっては、原則として、各分類項目に含まれる法令件数が概ね200以下になるよう配慮した。(「分類表」を参照)
- 分類の細分化においては通則的なものから具体的事項へと展開し、各項目にあてはまらないものは通則的な項目に収めた。細分化にあたっては、キーワード的な項目も設定した。
- [人相書・罪人捕縛]など告示的な法令については、分類項目名に[ ]をつけて集約した。
- 明治前期の法令に分類を付与するに際しては、判断の分かれる場合も多かった。適宜、他の分類項目も参照されたい。
3. 用語、記号
3-1. 用語
- 公文式
- 明治19年2月26日勅令第1号。法律・命令の起草、裁可、公布の手続、施行時期などについて規定した。公文式により、それまでの太政官期の法令の形式は一変された。公文式では、法令到達日を基準に各地の施行日を定める異時主義を採用したが、東京では即日に施行されたもののようである。
- 法令沿革
- 法令の制定、改正、廃止等の一連の流れのこと。
- 被改正法令
- ある法令によって改正・廃止される法令のこと。
- 目録
- ここでいう「目録」とは、出典資料本体に備わる、いわゆる目次部分のことを指し、のちの編集によって作成された目録(国立公文書館編纂の『太政類典目録』、『公文類聚目録』など)は原則として含まない。
- 目録標題
- 出典資料の目録に記載される法令名や文書の件名等のこと。
- 頭註
- 法令全書等の欄外上部に記載されている注記。
- 法令番号
- 法令が出される際に付与される番号。
- 法令の種別
- 法令の種類。本索引では、布告、布達、達等の区別。
- 以下については12. 法令沿革、効力、13. 関連情報を参照
- 改正、廃止、消滅、施行停止、取消、正誤、実効性喪失、参看、参考、参照
3-2.記号
- *
- 「抽出先法令」「分割先法令」を区別するために法令名の先頭につけたもの。
- *消滅 法令名(イタリック)
- 消滅のうち明治20年以降のもの。法令の消長を示す他の態様(廃止、〔消滅〕)についても同様である。
- 〔 〕
- 採録に際して本文等から推定して付与した情報を示すもの。
- -(ハイフン)
- 月日の記載のないもの。
- 〔-〕
- 廃番・廃号などにより法令名がない場合。
- 【 】
- 出典資料の編纂者が整理番号として付与した番号。
4. 文字
- 漢字は、JIS漢字コード表の第二水準までの字を使用した。
- 旧字は、「当用漢字字体表」(昭和24年)によって新字に置き換えた。
- 異体字(本字、古字、同字、俗字(略字、誤字))については、JIS漢字コード表の第二水準までの字はそのまま表示し、第三水準以上の字は第二水準までの字に置き換えた。
- 第二水準までの字に置き換え不可能な字についてはカタカナで表示し、備考欄に本来の字の説明を記述した。
- 置き換えた字については、辞書を組み込んで元の字からも検索可能とした。
- 外国地名(オランダ:和蘭陀、阿蘭陀)のように複数の表記が存在する場合も、どれからも検索可能とした。
法令単体について
5. 法令の採録について
- 原則として出典資料の目録標題を「一法令単位」として採録した。しかし、複数の法令を一括して扱っていたり、一法令中に通知通達文書等が別冊として組み込まれていたりする場合もある。そのため、沿革が付与しにくい際には、以下のように法令の「分割」または「抽出」という処理を行った。
5-1. 法令の「分割」
- 複数の法令を一個の法令であるかのように扱った法令については、分割してそれぞれ別個の法令として採録し、目録に記載されている元の法令との間にリンクを張った。これをそれぞれ、「分割先法令(例②③)」、「分割元法令(例①)」とした。
例:①陸軍省教部省職制事務章程(ID. 00012889)は、②陸軍省職制事務章程(ID. 00070206)及び③教部省職制事務章程(ID. 00070207)から構成されている。
5-2. 法令の「抽出」
- ある法令の別冊等として通知通達文書の類が掲載されている場合、別冊等の部分のみを抽出して、一個の法令として採録した。その場合、元の法別冊等の部分から抽出した法令との間にリンクを張った。これをそれぞれ、「抽出先法令(例②)」、「抽出元法令(例①)」とした。
例:①参謀本部条例 明治11年12月14日陸軍省号外達(ID. 00016418)の別冊として、②参謀本部条例 明治11年12月5日右大臣岩倉具視〔達〕(ID. 00060002)が掲載されている。
5-3. 本文の掲載のないもの
- 『太政類典』や『法規分類大全』等において、法令名・発令年月日等の記載により法令の存在は確認されるものの、法令本文が掲載されていないものも、法令が存在するものとして採録した。
- これらの法令は、<備考>に「本文なし」と注記した。
6. 法令名
6-1. 法令名
- 原則として、出典資料の「目録」内に記載された個々の目録標題を、本索引での「法令名」として採録した。
- 上記目録が存在しない場合や目録が存在しても、その表記が法令名として適切ではないと判断した場合は、適宜、内容に即した法令名を付与し、〔 〕を付した。
- 目録標題とは異なる法令名を付した場合は、法令名とは別に目録標題を記載した。
- 「抽出先法令」「分割先法令」には、それぞれの法令名の頭に「*」をつけて、区別した。
- 目録の用字と法令本文の用字が相違する場合には、原則的に目録の用字を法令名として採用した。ただし、本文を参照したうえで目録の用字が明らかに誤りであると判断した場合には、本文の用字を採用した。
- 欠字は空欄とせずに、つめて表記した。
- 『法令全書』を出典とする場合の法令名については、同書各巻末の正誤表の示す訂正情報を読み込んで付与した。さらに例外として、以下のような扱いをした。
- 目録標題に「同件」等と標目が略記される場合には、その内容を補記する必要のあるものと認め、〔 〕で補記した。
例:同件〔獣医ノ件〕福島県伺
- 『法令全書』明治元年附録【第4】については、目録標題とは別に、細項目の1件ごとに法令名を採録した。
- 『法令全書』中、ある法令に参照として付されている記事のタイトルは、当該法令名に続けて「付:参照~」として記載した。
例:徳川内府大政返上ノ請ヲ允シ諸藩ヲシテ上京セシム 付:参照 徳川内府大政返上ノ奏議
- 『法令全書』の目録上、「廃番」または「廃号」といった表記の下に、法令の種別・番号のみが記され、目録標題も法令本文も見あたらないものであっても、当該法令の発出事実を重視してこれを採録の対象とした。この場合、法令名は〔-〕とした。
- 目録標題に「同件」等と標目が略記される場合には、その内容を補記する必要のあるものと認め、〔 〕で補記した。
6-2. 法令名のヨミガナ
- 法令名中の語句からの検索を可能とするため、全ての法令名にヨミガナを付したが、表示はしていない。なお、主な用語の読みは「ヨミガナ辞書」を参照されたい。
- 旧仮名遣いは現代仮名遣いに直した。
- 読みは①『法令全書イロハ索引』②『国史大辞典』③『日本国語大辞典』④『広辞苑』⑤『大漢語林』⑥『大漢和辞典』の優先順位で準拠した。
- 地名については『日本歴史地名大系』、『角川日本地名大辞典』、人名については『日本人名大事典』、『大日本人名辞書』を主として参照した。
- 複数の読みをするものは、どれからでも検索可能とした。
例:陰陽師→オンミョウジ、オンヨウジ
7. 法令の種別、法令番号
7-1. 法令名
- ここでいう「法令の種別」とは、中央の国家機関により発令された法形式としての、布告、布達、達をその主なものとするが、採録対象には、沙汰、議定、決議、申達、通達、通知、内訓、判決といった種別の法令も含んでいる。
- 種別の判断は、原則として出典資料の目録標題、ないしは本文標題に記載されるとおりとした。
- 『法令全書』にある(布)などの略号は、法令の種別としては原文どおり(布)と表記したが、検索項目としては『法令全書』第一巻の巻頭言に従い「布告」などに読み替えた。
- 開拓使関係の出典資料から採録した法令のうち、種別及び番号が同一のものについては、宛先名を( )に記入して区別を施した。
- 目録標題や本文標題に記載がなく、結文や法令名等に種別を示す記載があった場合には、これを推定の根拠として用い、〔 〕で補記した。
- 出典資料のタイトル中に法令の種別が含まれる場合には、それを推定の根拠として用い、〔 〕で補記した。
例:陸軍省達全書→〔達〕
- 出典資料上、「伺」等上位機関への問い合わせに対し、「伺ノ通」といった指令のみが掲載されている場合には、その指令によって法規範の確認・確定があったものと判断して、〔定〕とした。( )内に「伺」の発出機関等を補記した。
例:太政官〔定〕(出納掛からの伺)
- 書簡による外国公使や使節との取り決めも〔定〕を用いた。
- 資料上に法令の種別の記載がなく、推定の手がかりもないものは空欄とした。
- 「廻し」は「回し」に、「御沙汰書」「御触書」「達書」等は「御」「書」をとり「沙汰」「触」「達」等に統一した。
7-2. 法令番号
- 明治5年1月8日太政官達により、それ以降の法令本文に付された番号を「法令番号」として採録した。
- 『法令全書』には明治初期(明治4年までは全て、明治5、6年は省によって)まで、いわゆる法令番号ではなく、同書編纂者が整理番号として付与した番号が見られる。これについては、法令番号とは区別して【 】を補い、<詳細画面>の巻号の位置に表示した。検索に際しては「法令番号等」から検索可能である。(15-2. 巻号等の表記を参照)
例:『法令全書』明治元年【第1】
- 陸軍省、海軍省等の法令で、法令番号のほかに文書管理番号とみなされる番号が付されている場合がある。これらは、「法令の種別・番号」の後に続けて表記した(整理番号とあわせて3種類の番号が付されている場合もある)。検索画面上では「法令番号等」から検索を可能とした。(15-2. 巻号等の表記を参照)
例:陸軍省布第158号 送第1682号 『法令全書』明治6年【陸軍省第383】
(整理番号は巻号の位置に表記) - 『法令全書』の目録上、「廃番」または「廃号」といった表記の下に、法令の種別・番号のみが記され、目録標題も法令本文も見あたらないものもあるが、当該法令の発出事実を重視してこれを採録の対象とした。この場合「法令番号」は、『法令全書』目録標題にあるとおり(廃号)等と付記した。
例:海軍省記三套第26号達(廃号)
7-3. 輪廓附
- 明治6年太政官第393号(達)から同16年太政官第30号達に至るまでの法令中「永ク遵守スヘキモノ」(明治6年太政官第393号(達))には輪廓が付してある。このような法令には『法令全書』の記載に従い、(輪廓附)と記載した。
8. 発令主体
- 当該法令を発出した機関、役職等を「発令主体」とし、原則として資料上の表記のまま採録した。
- 出典資料の目録標題、または本文標題から採録した。
- 『法令全書』において、本文標題中に( )付で明示された機関名も、「発令主体」に含むものとしてそのまま( )付で使用した。
- 複数の省から発出されたものは、ナカグロで記載した。
例:大蔵省・兵部省
- 合併された省から発出されたものは、関連省名を連記した。
例:民部省大蔵省
- 同一の機関名が国内に複数存在する場合は、それぞれの地名を〔 〕で補った。
- 「発令主体」名が、目録標題や本文標題に記載がなく結文や法令名中に記載される場合は、これを推定の根拠として用い、〔 〕で補記した。
- 出典資料のタイトル中に法令の「発令主体」が含まれる場合には、それを推定の根拠として用い、〔 〕で補記した。
例:陸軍省達全書→〔陸軍省〕
- 法令発出者として幕府または徳川慶喜が記されている場合には、それらを発令主体としてそのまま用いた。明記されていないが推定できる場合には、王政復古以降は発令主体を〔徳川慶喜〕とし、王政復古以前は〔幕府〕に統一した。
- 資料上記載されるが法令発出時の機関名として疑義のあるものや、略称で書かれているものは、可能な限り、正式名称を<備考>に注記した。調査にあたっては、大蔵省記録局編『官令沿革表』、内閣記録局編『明治職官沿革表』、内閣記録局編『法規分類大全』等を用いた。
- 『法令全書』の本文標題中に明示された役職名等の「連署」は、発令主体とはみなさず、「法令の種別と番号」に続けて( )で記載した。
- 「詔勅」や「条約」などは発令主体を空欄とした。
- 資料上に発令主体の記載がなく、推定の手がかりもないものは空欄とした。
- 上位機関等については、以下のように処理した。
- 資料上に下位の機関名が記載される場合は、その妥当と判断される上位機関名を可能なかぎり調査し、これを〔 〕で補記した。また、この上位機関名で一括して検索できるようにした。
例:〔元老院〕会計課
- 下位機関ではあるが、その上位機関との関係が制度上明瞭ではない場合や、上位機関の位置づけに様々な解釈の余地があると思われるもの(地租改正事務局、臨時官など)は、あえて上位機関を補わなかった。なお、「臨時官」については一括して関連法令を検索できるようにした。
- 上位機関名としての太政官と正院(右院・左院も同様)の関係については、「正院」名が資料上に確認されるときだけ「正院」を発令主体として表記し、上位機関名としての〔太政官〕は補記しなかった。
- 上位機関としての推定の〔正院〕は使用しなかった。
- 資料上に下位の機関名が記載される場合は、その妥当と判断される上位機関名を可能なかぎり調査し、これを〔 〕で補記した。また、この上位機関名で一括して検索できるようにした。
9. 発令年月日
- 法令の発令年月日は、法令の公布日、指令等の発令日を原則としたが、資料上これらが確認されない場合には、決裁日等でこれに替え、〔 〕で補記した。
- 発令年月日は、原則として出典資料の目録や本文の標題部分から採録した。目録や本文の標題部分に記載がなく本文に記載があった場合は、推定年月日として〔 〕で補記した。
- 法令沿革のために採録した公文式以降の法令で『官報』に掲載されているものについては、『官報』掲載日を公布日とした。
- 『法令全書』など、慶応4年をすべて明治元年としている資料から採録した法令は、9月7日までは、(慶応4年)を補記した。検索はどちらからでも可能とした。
- 年月日の数字は算用数字の半角で記載した。
- 年の記載のないものは、資料の刊行年などから推定し〔 〕で補記した。
- 月日の記載のないものには「-月-日」とハイフンで記載した。
- 法令の種別が〔定〕で、伺い日しかないものは、伺い日を〔 〕で補って発令年月日とした。
- 「元年」「正月」「朔日」「晦日」「閏月」等はそのまま表記したが、検索は数字に置き換えて行うこととした。「晦日」の置き換えについては外務省編「近代陰陽暦対照表」を参照した。
- 『法令類纂』は、明治5年までは干支のみの表記であるため、( )で元号と年を補った。
例:戊辰(明治元年)10月2日
- 西暦で書かれたものは、資料にあるとおりに記載し、和暦がわかるものは( )で続けて記載した。日本が太陽暦を採用する前の場合は、外務省編『近代陰陽暦対照表』を参照し、太陰暦に置き換えた。
例:1870年5月21日(明治3年4月21日)
10. 法令の表記
- 本索引においては、公文式以前の法令の表記については、当時の一般的な法令表記の仕方を踏襲し、発令年月日+発令主体+番号+法令の種別の順で記載した。
例:明治7年1月9日 太政官第1号達(輪廓附)
- 公文式以降の法令は、今日の一般的な法令表記の仕方に基づき、発令年月日+法令の種別(発令主体を含む)+番号の順で記載した。
例:明治19年5月14日 内務省令第6号
11. 法令ID番号
- 本索引を編纂する過程で作業用の便宜のために付与した8桁の数字。『法令全書』から採録した法令は、収載順に付与した。『法令全書』以外の資料では、出典資料のそれぞれに資料IDを付与し、採録した法令へは、その資料IDを先頭につけて付与した。(15. 出典資料を参照)
- 『法令全書』:00000001~00029999
※抽出法令は6万番台(00060000)、分割法令は7万番台(00070000)をそれぞれ付与した。
- その他の資料:資料ID 3桁+個別のID5桁
例:『諸規則録』の一番目の法令 資料ID 002+00001 → 00200001
- 『法令全書』:00000001~00029999
法令の沿革等について
12. 法令沿革、効力
12-1. 法令沿革
- 法令の沿革は、明治19年末までを採録の範囲とした。
- 沿革は、原則として『法令全書』の頭註や本文にあるとおり付与した。『法令全書』以外から採録した場合には、本文等から判断した。
- 頭註の記載について、個々のケースで判断した場合もある。例えば、法令の一部分の「消滅」は「改正」とする、複数の法令によって「消滅」と記載されている場合は法令本文を読んだ上で「改正」と「消滅」に書き分ける、等である。
- 沿革の付与に際しては、法令の関係性を読み取るのが困難な場合も多かった。法令の系譜を辿りやすくするため、一部改正法に連なる沿革を被改正法令につなげて一つの沿革とした場合などもある。法令の系譜を辿る際には、法令の沿革や被改正法令、関連情報などにも留意されたい。(「ヘルプ(使い方ガイド)」を参照)
- 頭註に沿革についての言及があっても、該当法令が見つからない場合は頭註の文言のみ記載した。
例:制度変革ニ依リ消滅(『法令全書』頭註にあり)
- 『法令全書』巻末の「法令改廃表」については、明治17年版のみを採録対象とした。
- 沿革の態様とその使用範囲は以下のとおり。
- 改正
- 現行法における条文の一部改正という概念よりもかなり幅広く使用した。
- 廃止
- 法令本文中または頭註に廃止と記載のあるものに限定した。
- 消滅
- 頭註および「法令改廃表」に消滅と記載のあるものに限定した。
- 〔消滅〕
- 明示されていないが本文等から「消滅」と推定されるもの。
- 施行停止
- 公布はされたが後に別の法令により施行が停止されたもの。
- 取消
- 公布の事実が後に別の法令で取り消されたもの。
- 正誤
- 法令による正誤があるが、訂正が読み込まれていないもの。
- なお、上記の考え方に基づくため、日本法令索引、『日本法令索引〔旧法令編〕』と若干の相違が出た場合もある。
例:今後年号ハ御一代一号ニ定メ慶応四年ヲ改テ明治元年ト為ス及詔書(明治元年9月8日行政官(布))
→〔旧法令編〕では失効(前法後法)であるが、明治前期編では〔消滅〕とした。 - 〔明治前期編〕の検索対象ではないが日本法令索引に採録されている法令が、法令沿革に表示されている場合は、リンクを張って日本法令索引の索引情報画面を参照可能とした(「本編」という文字からリンクしている)。
12-2. 効力
- 明治前期の法令については、失効等の終期が判明しないために効力の態様を付与することができず、形式上効力が持続しているかのような法令も多数ある。効力について判明した情報については、法令沿革に表示した。ただし、今もなお効力が持続していると認められるものは「備考」に「現在も効力を有する」と注記した。
- 法令の失効を示す態様に限り、判明したものについて明治20年以降も採録した。
- 「実効性喪失」「現在も効力を有する」については、日本法令索引、『日本法令索引〔旧法令編〕』に拠った。ただし、上記の考え方に基づくため、日本法令索引、『日本法令索引〔旧法令編〕』と若干の相違が出た場合もある。
例:裁判事務心得(明治8年6月8日 太政官第103号布告)
→日本法令索引では現行法令として扱っているが、明治前期編では消滅とした。(『法令全書』明治17年巻末の「法令改廃表」にあり)
13. 関連情報
- 法令の沿革としての関係性が確認できなかった場合も、その法令と何らかの関連性を有し参考となると判断したものは、関連情報として採録した。
- 関連情報の態様とその使用範囲は以下のとおり。
- 参看
- 『法令全書』頭註に参看と記載がある場合のみ付した。
- 参考
- 関連する法令。
- 正誤(訂正済)
- 正誤が読み込まれているもの。
- 参照
- 『法令全書』以外の出典資料から採録した太政官発令の法令が、本索引の基本資料である『法令全書』に収載されている各省発令の法令に引用されている場合(それぞれを法令単体として採録している)に、引用された法令の『法令全書』での掲載箇所を案内するために使用した態様。
14. 重複法令
- 『法令全書』を基本資料としたので、『法令全書』から採録した法令と同一であると判断された法令が他の出典資料にあった場合には、採録していない。『法令全書』以外の出典資料を典拠として採録した法令が、他の出典資料にも収載されていた場合には、参考のためこれを「重複法令」として採録した。
- 出典資料には優先順位を決めてあり、上位の出典資料を典拠とした法令を基本法令とし、下位の資料に掲載されていた法令を重複法令とした。
- 重複法令は、検索の対象とはしていない。
- 主な出典資料の優先順位は以下のとおり。
- 『太政類典』・『公文類聚』
- 法令を発令した機関が編綴した布令原書(『内務省布達全書』など)
- 国家機関が発令時に近接した時期に編纂した法令集(『太政官達全書』など)
- 官院省日誌(『元老院日誌』など)
- 『法規分類大全』
- その他の法令集
- 後代の編集にかかる資料集(『郵政百年史資料』など)
出典資料について
15. 出典資料
- 本索引では『法令全書』を基本資料としたが、『法令全書』第一巻の序言「編纂例」にも「維新草創制度未タ整ハス或ハ口達ニ止リ或ハ散佚ニ帰スルナキヲ保セス加之官省火災ニ罹リ文籍完全ナラサルモノアリ」と述べられているように、多岐錯綜を極めた明治初期の法令の全体像の把握には『法令全書』だけでは十分ではない。このため、約100種の資料を調査した上で約70点を法令採録の出典資料として選択し、『法令全書』に採録されていない法令を補った。(「出典資料解題」を参照)
- 出典資料の選定にあたっては、「発令した機関の編纂であること」「編纂主体が国家機関であること」「編纂の時期が法令の発令から時間が経っていないこと」等を基準とした。
15-1. 資料名等の表記
- 出典資料のタイトルは、国立国会図書館検索・申込オンラインサービス(国立国会図書館オンライン)で提供している当館目録に準拠した。
- 総合資料集や後代の編纂資料など、複数の法令集や資料等を収録したものがある。このような場合には、個別の資料名等を出典資料のタイトルとし、その収録資料集等のタイトルを( )で補記した。
例:「地租関係書類彙纂」(『明治前期財政経済史料集成』)
15-2. 巻号等の表記
- 算用数字で表記した。
- 出典資料が総合資料集等の場合は、個別の文書への到達の便宜のため( )にその巻号と収載頁をタイトルの後に記載した。
例:「租税局改正局日報」5年29号(『明治初年地租改正基礎資料』上巻72頁)
- 他機関所蔵の資料を当館でマイクロ化した場合には、( )にそのリール番号とマイクロコマ番号を表示した。リール番号はR、マイクロコマ番号はnoで表示した。
- 文書本文に記載されている個別の文書番号や目録中に付された目録番号は、【 】で表示した。
例:『諸規則録』明治10年【26】(R1-no.337)
- 『法令全書』については、原則として法令の発令年月日、法令の種別・番号で掲載巻号(年版)及び掲載頁が特定できるため、巻号・掲載頁は記載しなかった。
- およそ明治5、6年までの『法令全書』で付されている整理番号は、法令番号とは区別して【 】で表示し、巻号の位置に表記した。なおこれらは、法令が収載されている『法令全書』の年版とあわせて表示した。
例:『法令全書』明治3年【第4】
- 『法令全書』において、明治18年末の「伺」は明治19年の巻に収載されているため、掲載場所を明らかにするために年版を表示した。
例:『法令全書』明治19年
- 数字のみで巻号頁等の単位の記載がない場合は、適宜〔 〕で補記した。
例:5〔巻〕2月〔号〕17丁
- 頁数について、本文と目録が異なる場合は、本文を優先した。
- 『公文類聚』第9編の巻の番号づけは、当館と国立公文書館の目録とで異なっている。当館の目録に従って記載し、巻号が異なる場合のみ国立公文書館の巻号を<備考>に注記した。
公文類聚第9編の巻号について(対照表) 日本法令索引〔明治前期編〕 公文類聚. 索引(*1) 国立公文書館 1巻 巻之一 第一巻 2巻 巻之二 第二巻 3巻 巻之三 第三巻 4巻
(4巻下)(*2)巻之四 第四巻 四ノ下 第五巻 5巻 巻之五 第六巻 6巻
(6巻附録1)(*3)
(6巻附録2)巻之六 第七巻 索引なし 第八巻 索引なし 第九巻 7巻 巻之七 第十巻 8巻 巻之八 第十一巻 9巻 巻之九 第十二巻 10巻 巻之十 第十三巻 11巻 巻之十一 第十四巻 12巻 巻之十二 第十五巻 13巻 巻之十三 第十六巻 巻之十四(*4) 14巻 巻之十五 第十七巻 15巻 巻之十六 第十八巻 16巻 巻之十七 第十九巻 17巻 巻之十八 第二十巻 18巻 巻之十九 第二十一巻